ミネルバのふくろうは黄昏に飛び立つ

投資歴15年雑食系投資家の投資日記

高配当株投資家はなぜ配当(キャッシュフロー)にこだわるのか?

配当は税金がかかる分税制的に不利、税金の支払いを繰り延べできる企業側での投資や自社株買いのほうが資産を最大化できる、配当なんて不要だ、なんて意見があります。

配当のでるETFよりも配当を繰り延べできる投資信託のほうが有利だなんて話もあります。

資産の最大化を考えればたしかにそのとおりなんですが、それだけでは片づけられない投資を続けていく上でのマインドの問題がここにはあります。

 資産の最大化かキャッシュフローの最大化か?

一つ例をだします。

 

現在40歳のAさんとBさんが居ます。

 

資産最大化の目指すAさんは宝くじで4憶当たりました。80歳まで生きるとなると毎年1000万円つかえます。40歳の時点で一括でもらえるのでキャピタルゲインの狙えるハイテク企業に投資してもっと増やして大金持ちになることも可能かもしれません。でも日々の生活は値上がりしたハイテク株を毎月売りながら生計を立てています。

 

キャッシュフロー大好きなBさんは宝くじは当たりませんでしたが、毎年1000万円のお金が出て来るキャッシュマシンを手に入れました。手元の現金は今年分の1000万円だけなのでそのなかで暮らし、余剰金は高配当株に投資をしました。

 

二人とも80歳まで生きると仮定するとともに4億円の資産をもらえたことになります。

 

5年後、

資産最大化を目指すAさんは年率6.8%の運用をして毎年800万円を切り崩しながら生活をしたおかげで5億6千万円まで資産が増えました。5億6千万は資産最大化のためにすべて株式資産です。

キャッシュフロー大好きBさんは1000万円のうちAさんとおなじく800万円で生活をし、残りの200万円を高配当株で運用しました。高配当株の配当で毎年4%の配当がもらえる高配当株に投資しましたので、資産は1300万円になりました。

 

ところが6年目になると大規模な金融ショックが起き株価が大暴落してしまいました。長引く不況でその後10年間株価は伸び悩みました

 

Aさんの資産は暴落で2億8000万になりそこから毎年、800万円切り崩します。資産は潤沢にありますが、毎年減っていく資産にAさんは不安でなりません。

一方Bさんは高配当ディフェンシブ株のおかで大暴落時も25%しか資産が減りませんでした。資産こそ1000万円に減ってしまいましたが、毎年1000万円と資産からの配当40万円はかならずもらえます。Bさんは資産こそ1000万円ですが、資産が配当でまた増えていくので株価を気にせず毎年の生活を淡々と続けていきました。しかもちょっとづつではありますが毎年の収入は増えています。

 

AさんとBさん、同じ4億円をもらえても資産の差は歴然です。でもどちらが幸せでしょう?どちらが心穏やかにくらせるでしょう?

 

日々倹約して投資に回すようなリテラシーの高い方が、効率が良いとはいえ毎年減り続ける資産に耐えられるでしょうか?

資産は少ないけ毎年のキャッシュフローがゆっくりと増えていくBさんは情弱でしょうか?

どちらが正解ということはありませんが、投資を続けていくうえでメンタルは大切です。

衣食住に困らず豊かな生活ができるけど徐々に衰退していく先進国と、粗末な衣食住だけど、明日はもっと良くなるという希望のある途上国、どちらが幸せでしょうか?

 

 

安定したキャッシュフローは生活の質と投資のモチベーションを向上する

安定したキャッシュフローを生む連続増配株や不動産は仮に資産の増大が少なくても

・毎月の生活費をカバーできる。

・経済的な安心感を生む。

・インカムが想定できる。(連続増配株の場合)

 

・株価や物件価格の変動で不安になりにくい。

キャッシュフローは徐々に増大する。

こんな利点があります。経済的合理性は劣っていても、メンタルの平穏を得やすい投資法といえます。

 

逆にキャッシュフローを生まない資産は

・金額が大きくても安心感が持てない。

・節約や投資をするような人間は資産を取り崩すのに、一般人以上の嫌悪感を抱く。

 (耐えがたい)

キャピタルゲインは不確定の利益、一回しか(売却した時しか)利益を確定できない

 

いつまでも働き続けるならば別ですが、資産運用で生活費を賄おうとした場合、自分だったら資産の取り崩しに耐えられるとは思えません。

 

理想はキャッシュフローを生む資産でさらにキャッシュフローを生む資産を買う

このような循環ができてしまえば、資産の大きさにかかわらず増え続けるキャッシュフローを享受することができます。資産が増えることもうれしいですが、それはある日暴落とともに消えてしまいます。一方キャッシュフローの循環ができてしまえば毎年使えるキャッシュフローは確実に増えていきます。

 

より大きなキャッシュフローを生み出すには

キャッシュフロー=投資額×利回り(配当、家賃収入)

の式で表せます。

より大きなキャッシュフローを生み出すには投資額を大きくし、利回りを高めるほかありません。

 

投資額を増やすには

・サラリーマンの場合は給料収入での増額は難しい。

・日々の節約は確実な投資額増をもたらす。

・副業をする。

利回りを高めるには

・ハイリターンの投資をする(ハイリスクでもある)

・安全な資産(連続増配株、インデックス、立地の良い不動産)を

 暴落時または業績とは関係性の薄い個別要因で下げた株を買う。

 

投資額をコツコツと増やし、利回りを高めるほか安定したキャッシュフロを生み出すことはできません。ただし、じゃあいつが利回りが高いか、いつが底値なのかというのはなかなか判断が難しいです。明らかに高値圏というのはわかりますが、そこからさらに株価や不動産が上昇するなんてものもザラです。

わからない以上、日々コツコツと積み立てを行い、誰の目にも明らかな暴落時は、それが底かどうかは分からなくても多めの投資を実行する以外にありません。

 

まとめ

キャッシュフロー重視の投資手法は経済的合理性だけでは是非を判断できない。

・積みあがったキャッシュフローは確実な安心感を生む。

・資産があっても安心感は得られない。

 

投資スタイルは人それぞれで、何が良い手法かというのも人それぞれです。

ただし、心とうまく付き合うことのできるキャッシュフロー重視の投資も、立派な投資手法だと自分は考えます。

経済的合理性だけを考えれば配当なんて強制的利益確定装置なのかもしれませんが。